ネット上で声質最強の女性声優を決める際、必ず名前が挙がるのが東山奈央さん(@naobou_official)。
代表作は『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』『ゆるキャン』『ニセコイ』など。性格の良さと育ちの良さがにじみ出ていると評判で、プロ意識の高さからか、浮いた話のないTHE・声優です。
地声は演技時とあまり差がなく、高めで伸びがあり、どこか幼さを感じる声質が特徴。活発で天真爛漫な役柄の印象が強く、とくに『きんいろモザイク』のカレンや『ダンベル何キロ持てる?』のジーナなど、エセ外国人の演技にも定評があります。
※英語は得意科目だが留学経験などはない
一方で『ピーチボーイリバーサイド』では少年役、『ゆるキャン』では低体温なクールキャラを演じるなど演技幅は広い。そのため、ASMR作品でもディレクションによって受ける印象が全く異なり、安眠指数最高のときもあれば、声質を活かしきれていない作品もあります。
それでは、独断と偏見による、ASMR・ボイスドラマのランキングをご紹介していきます。
1位 新・ねこぐらし。ハバナ猫娘 編
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通常価格 1,980円
販売日 2021年11月15日
サークル CANDY VOICE
シナリオ 柳出國男
イラスト ぶーた
有名声優を起用する同人ASMR界の雄「ねこぐらし」シリーズ。本作のハバナ猫は、東山奈央さんのイタズラっぽい幼さを含む声質を活かした、穏やかな癒やし成分強めの妹的キャラ。声質が近い役柄は『魔法少女育成計画』の一ノ瀬帆波、『Re:ゼロから始める異世界生活』のダフネあたりでしょうか。
東山奈央さんの数多い出演作のなかでも比較的珍しめの演技で、安眠・リラックスASMRにチューニングされた、さすがの「CANDY VOICE」と言わざる得ないディレクションです。他の東山奈央さんのASMRと聴き比べれば、どれだけ素晴らしい仕事かわかることでしょう。
おすすめのパートは、オイルマッサージ。東山奈央さんのロリ寄りボイスがゆったりとした喋り口で流れてくるだけで、安眠指数は満点を叩き出します。
個人的には同シリーズの鬼頭明里さん「メインクーン猫娘編」と合わせて、心からおすすめする素晴らしい一作。
2位 ねこぐらし。異世界転生篇~播磨ゆい~
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通常価格 1,980円
販売日 2023年5月22日
サークル CANDY VOICE
シナリオ 柳出國男
イラスト ぶーた
「ねこぐらし」シリーズの最新作、異世界転生篇。東山奈央さんは前作のハバナ猫をベースとした、播磨(はりま)ゆいを演じます。
異世界転生と銘打っていますが、猫娘たちが現世の人間に憑依するかたちなので、逆にリアルな状況(関係性)を楽しめるシリーズとなっています。
本作は「中学生の幼馴染との夏休みの一時」という超王道設定で、わずかにいたずらっぽい献身的な女の子という、東山奈央さんの純真度100%の演技が神がかっています。
なかでも本作の最大の魅力といえるのが、絶妙な関係性です。ASMRではとかくイチャイチャ濃度が濃い作品が多く、照れ臭さくて聞くに堪えないことも多々あります。その点で本作は、親密度の高さを感じさせつつも、むず痒さの直前の絶妙な距離感です。
音声はマッサージ主体で、「とりあえず耳かきしとけばいい」といった雑な作品とは一線を画す丁寧で穏やかな仕上がり。遠くから聴こえる蝉しぐれと風鈴の音が郷愁を誘います。前作の「ハバナ猫娘編」と甲乙つけがたい、安眠指数MAXの傑作です。
3位 こどものままでもママになりたい! ~愛息とママの親子愛が大膨張♪秘密の実験記録なんだよぉ 眞理佳ASMR~
通常価格 1,760円
販売日 2022年8月5日
サークル 電撃G's magazine
シナリオ 蒼山サグ
イラスト はねこと
「小学生ママ」によるASMRという、どうかしている作品。脚本は「小学生は最高だぜ!」でお馴染みの『ロウきゅーぶ』の蒼山サグ氏が務めており、ラノベ・アニメファンならお察しの内容となっています。
東山奈央さんが演じるのは、マイペース不思議(サイコパス?)ロリで、今までに東山奈央さんが演じてきた様々な役が絡み合った印象のキャラです。
耳かきやシャンプーなどリラックス系の音声を押さえている一方で、「イタズラ好き」という設定で聞き手に無用な緊張感を強いてくるため、安眠指数は低め。
間延びした口調の東山奈央さんの声が素晴らしい一方、「小学生ママ」という設定を受け入れられるかで、作品の評価が分かれるでしょう。
4位 おしごとねいろ ~キャンパー編~
通常価格 1,980円
販売日 2022年6月14日
サークル kotoneiro
シナリオ 氷川ミツヒデ
イラスト 月神るな
辛口レビューとなりますが、小岩井ことりさん主催の「おしごとねいろ」シリーズの悪いところが出た作品です。最初の10分ほどはキャンプの教材か、公共広○機構のCMかという印象を受けます。
作品の半分以上が声を張った演技のため、睡眠には全く向きません。ハツラツとした明るいキャラクターは東山奈央さんらしいのですが、「ねこぐらし」と比べればASMR作品として明らかにミスディレクションと感じます。
「kotoneiro」らしく、キャンプの環境音に挑戦するなど音声作品としては面白い試みですが、作り手のやりたいことが先行して、ファンが置いていかれたパターンといえるでしょう。
そもそも家でASMRを愛聴するような層は、アウトドア音声には惹かれないのでは……。東山奈央さんを起用するのであれば、『ゆるキャン』よりも『きんモザ』から「英語教師編」などを期待したかったです。
まとめ
東山奈央さんのASMR作品は、サークルによって出来が大きく左右されているのが現状です。圧倒的な声質と高い演技力を持つがゆえに、それを活かしきる脚本とディレクションが求められると思います。